月うさぎの里のリニューアルから考える、公開後も使えるサイトづくり。
「そろそろ会社のWebサイトをつくりたい」「今のサイトを、もっと使いやすくしたい」
そう考えたとき、デザインのイメージと一緒に整理しておきたいのが、サイトの目的、掲載する情報、そして公開後の運用です。
誰に見てもらい、何を知ってもらい、どんな行動につなげたいのか。それが見えてくると、必要なページも、選ぶサービスも、予算のかけ方も判断しやすくなります。
この記事では、当社が手がけた「月うさぎの里」のリニューアルを例に、コーポレートサイトの制作前に決めておきたいことを紹介します。月うさぎの里は観光施設の公式サイトですが、「魅力を伝える」「疑問に答える」「次の行動につなげる」という考え方は、会社のWebサイトにも共通します。
1. 「誰に、何をしてもらうか」を一文にする
サイトの目的を「会社を紹介する」だけで終わらせず、もう一歩具体的にしてみます。
たとえば、制作会社なら「依頼先を探している人に、仕事の内容と実績を知ってもらい、相談してもらう」。店舗なら「来店を検討している人に、お店の雰囲気と場所を知ってもらい、足を運んでもらう」。採用なら「働く場所を探している人に、仕事内容と会社の考え方を知ってもらい、応募してもらう」。
目的が複数あっても構いません。ただし、最も大切にしたい行動は決めておきましょう。
問い合わせを増やしたいのか、採用につなげたいのか、取引先への説明をわかりやすくしたいのか。その優先順位によって、トップページで伝えることや、目立たせるリンクが変わります。
まずは「〇〇な人に、△△を知ってもらい、□□してもらう」を一文で書く。 制作を相談するときにも、その一文が話の出発点になります。
2. 魅力と、利用前の疑問を、両方伝える
月うさぎの里のサイトには、うさぎとのふれあい、お買い物、体験など、施設での過ごし方を知るための情報があります。一方で、施設情報やFAQ、お問い合わせといった、訪問を検討する人の疑問に答える情報もあります。
写真で「行ってみたい」と感じても、必要な情報が見つからなければ、次の行動に移りにくくなります。魅力を見せることと、判断に必要な情報を届けること。その両方を考える必要があります。
たとえば、初めて施設を知った方には写真や過ごし方が、訪問の予定を立てる方には施設情報やFAQが役立ちます。同じサイトでも、検討の段階によって必要な情報は変わります。
会社のサイトに置き換えるなら、実績や雰囲気の伝わる写真に加えて、「何を依頼できるのか」「どのように進むのか」「どこから相談できるのか」がわかる構成にする、ということです。
料金を一律で出せない業種でも、対応範囲や相談から納品までの流れは説明できます。文章や写真を準備するときは、会社が伝えたいことだけでなく、相手が依頼前に確認したいことも書き出してみてください。
3. 公開後、誰が何を更新するかを決める
サイトは公開して終わりではありません。営業時間、サービス内容、お知らせ、実績、写真など、運営していく中で変わる情報があります。
月うさぎの里のリニューアルでも、公開する画面に加えて、情報を更新するための管理の仕組みを整えています。お知らせや写真のように更新が続く情報は、公開後の運用まで含めて考えることが大切です。
制作前に、次の3点を整理しておくと、管理画面に必要な機能が見えてきます。
- 社内で更新したい情報は何か。
- 誰が入力し、誰が内容を確認するか。
- 更新する頻度はどのくらいか。
「毎週お知らせを追加したい」と「年に数回、会社概要を修正したい」では、必要な仕組みも異なります。
更新担当者が扱いやすいこと、誤って公開しないこと、困ったときに相談できることも、制作時に確認しておきたいポイントです。
4. ドメイン・公開環境・メールを分けて考える
Webサイトをつくる際に混同しやすいのが、ドメインと、サイトを公開するサービス、メールのサービスです。
| 項目 | 主な役割 |
|---|---|
| ドメイン | 会社のWebアドレスに使う名前。例:example.com |
| サイトの公開環境 | 作成したページや機能を、インターネット上で利用できるようにする場所 |
| メール | info@example.comなど、会社のメールを送受信する仕組み |
同じ会社のサービスでまとめることも、用途に合わせて分けることもできます。
月うさぎの里の事例では、WebサイトをVercelで公開し、管理用のデータにはSupabaseを使っています。これは、このサイトの構成に合わせた選択です。すべての会社に同じ組み合わせが必要なわけではありません。
また、サイトのリニューアルをするからといって、ドメインやメールまで必ず変更する必要はありません。すでに会社のアドレスがある場合は、何を引き継ぐのか、サイトの切り替えでメールに影響しないかを先に確認しましょう。
新しくサイトをつくるなら、ドメイン候補を確認する
初めて会社のサイトをつくる場合は、会社名やブランド名に合うドメインの候補を、早めに調べておくと計画を立てやすくなります。
取得時の料金だけでなく、翌年以降の更新料金、必要なオプション、契約や更新を管理するアカウントも確認してください。制作を依頼する場合も、契約者と管理担当者を曖昧にしないことが大切です。
比較候補として、以下の公式サイトでドメインを検索できます。
すでにドメインを持っている方は、新しく買い直す前に、現在の契約と更新状況を確認するところから始めてください。
5. 更新内容に合わせて、つくり方を選ぶ
サイトのつくり方は一つではありません。ページ数、更新する情報、必要な機能、社内の担当者、予算によって、検討する方法が変わります。
| 検討する方法 | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| ノーコードのサイト作成サービス | 編集画面の扱いやすさ、デザインの自由度、必要な機能、独自ドメインを利用する条件 |
| WordPressなどのCMS | 更新機能、テーマやプラグインの管理、保守・バックアップ、公開環境 |
| 個別に設計・開発するサイト | 独自機能、管理画面、外部サービスとの連携、公開後の保守体制 |
月うさぎの里は、サイトと管理機能を個別に設計・開発した事例です。一方で、別の会社のサイトでは、ノーコードやWordPressが選択肢になることもあります。
自分たちでページを編集したい方へ
ノーコードの比較候補の一つに、Wixがあります。必要なページや機能を実現できるか、編集の操作が担当者に合うか、契約前に確認してみてください。
会社案内、サービス紹介、お問い合わせなど、まず必要なページを書き出し、文章や写真の変更を担当者自身で試してみると、運用できそうか判断しやすくなります。見た目だけでなく、更新する人の扱いやすさまで確認しましょう。
WordPressで運用したい方へ
WordPressを使う場合は、対応する公開環境と、更新・保守の担当をセットで考えましょう。比較候補の一つが、さくらのレンタルサーバです。WordPress対応プランや、バックアップなどの機能を公式サイトで確認できます。
お知らせや記事を継続して追加したい場合は、投稿・編集の操作に加えて、WordPress本体やプラグインの更新、バックアップからの復旧を誰が担当するかも確認してください。社内で行う部分と、制作会社に任せる部分を分けておくと安心です。
ここで紹介したWixと、さくらのレンタルサーバは、制作方法を検討するための比較候補です。月うさぎの里のWebサイトで利用した公開サービスではありません。
なお、Wixなどのサイト作成サービスやVercelを使う場合、一般的なレンタルサーバを別途契約しなければならないわけではありません。選んだ構成に必要なものを確認してから契約しましょう。
事業で使うサービスは、商用利用の条件も確認してください。たとえば、VercelのHobbyプランは個人の非商用利用が対象です。Vercelの公式プラン説明(新しいタブで開きます)
6. 制作費と、運用費を分けて見積もる
最初の制作費に加えて、公開後に必要になる費用も整理しておきましょう。
ドメインの更新、公開環境やメールの利用、CMSや外部サービスの利用、システムの保守、文章や写真の追加など、サイトの構成によって必要な費用は変わります。
見積もりを比較するときは、金額だけでなく、「何が含まれているか」「公開後は誰が担当するか」まで確認することをおすすめします。
契約するサービスが複数になる場合は、会社名義の契約情報や管理アカウントを整理し、担当者が変わっても引き継げるようにしておくことも大切です。
制作の相談前に、まずこの5つを書き出す
詳しい仕様を最初から決める必要はありません。次の5つがわかると、必要な構成を検討しやすくなります。
- 誰に見てもらい、どんな行動につなげたいか。
- 掲載したい情報と、現在用意できる文章・写真。
- 社内で更新したい情報と、担当者。
- 引き継ぎたいドメイン、メール、既存のサービス。
- 制作と公開後の運用にかけられる予算。
迷っている項目は、迷っているままで構いません。「何が必要かわからない」という段階も、相談の出発点になります。
自分でもWebの仕組みを学びたい方へ
社内での更新や制作会社とのやり取りに向けて、HTMLとCSSの基本を知っておきたい方には、学習用の書籍を検討する方法もあります。
候補の一つが、Mana著『1冊ですべて身につくHTML & CSSとWebデザイン入門講座[第2版]』です。出版社の目次では、HTML・CSSの基礎から、ページのレイアウトや外部メディアの利用などを確認できます。
この書籍は、本記事の読者向けの基礎学習の候補として紹介しています。月うさぎの里の制作に使用した書籍としての紹介ではありません。管理画面やデータベースを含む開発は別の学習範囲になるため、ご自身が学びたい内容に合うか、目次を確認して選んでください。
会社に合うサイトを、一緒に考える
会社のサイトに必要なのは、流行の機能をすべて揃えることではありません。伝えるべきことが伝わり、必要な情報を更新でき、運用を続けられることです。
ファニープロダクションでは、Webサイトのデザインと構築を、掲載する情報や公開後の運用と合わせて考えています。
新規制作もリニューアルも、まずは「誰に、何を伝えたいか」からお聞かせください。
補足
※掲載しているサービス情報は2026年9月12日時点で確認しています。機能、料金、契約条件は変更される場合があります。契約前に各公式サイトで最新の内容をご確認ください。